月別アーカイブ: 2021年9月

大型炉について

10月になり秋も深まってまいりました、と申し上げたいところですが、まだ気温は高く最高気温は30度を超えている状況です。温暖化の影響を身をもって感じるこのごろであります。

さて、今回は弊社保有の大型炉について少しお話させていただきます。弊社本社保有の真空炉は23基ございますが、その殆どが一般的な真空炉のサイズ(有効加熱帯)であります「600*600*1050」となります。但し23基中の6基が超大型炉と呼ばれる炉になっており、サイズ(有効加熱帯)が「1300*1300*1650」となっております。大きな炉で無ければ大きなワークは処理できませんが、もう一つの優位性に「体積の大きさ」が挙げられます。一般的な炉の体積0.378㎥(立米)に対して超大型炉の体積は2.7885㎥(立米)となり、体積比は実に7.3769…倍となります。一般的な炉と超大型炉の処理費は7倍以上もありませんので、嵩張る様なワークに対して非常に大きな優位性を有しております。2005年の本社工場操業当初は2基しか保有していなかった超大型炉はたくさんのニーズによって今では6基保有するに至りました。

また能登工場の真空炉サイズは「800*800*1300」で大凡先述の超大型炉の半分の体積となっております。弊社ではお客様のご要望に対して積極的に設備導入を行っております。是非お気軽にお声掛けいただけますと幸甚に存じます。

【熱処理コラム】サブゼロ処理について

例年であればまだまだ残暑が厳しい時期ですが、雨や曇天が多く気温的には過ごしやすい日が多かったように感じます。とはいえ猛暑も多い時期ですので皆様、体調にはご留意ただきたいと思います。

さて、今回はサブゼロ処理についてご紹介いたします。弊社では800*800*120サイズ、常温~-190℃までコントロール可能なサブゼロ装置を保有しております。サブゼロによるメリットは様々ですが、その中でも経時寸法変化(経年変化)対策が行えます。焼入時に発生したγr(残留オーステナイト)は経時と共にマルテンサイト化します(時効硬化)マルテンサイト化すると硬く、大きくなります。これが経時寸法変化です。焼入後、焼戻し前にサブゼロを行うことにより、γrを数ヶ月~数年の時効効果を即時マルテンサイト化させることを目的とします。マルテンサイト化することでより硬く強靱化され、工具等の長寿命化に寄与します。

サブゼロ時における注意事項として、ヒートショックによる割れが挙げられます。弊社ではプロコンを使用した制御を用い多段階でゆっくりと冷やすことにより、割れを発生させることなく処理を行う事が可能です。また、シースとロガーを用い、雰囲気温度と実体温度の収斂の状況を確認及び記録することも可能です。ご興味がございましたらお気軽にお問い合わせください。